私の牧場では年間20数頭の子牛が生まれる。
牡、牝はほぼ半々である。うち、数頭の牝を後継牛として、県営奥越高原牧場で育成され、2年後に初産を孕んで帰ってくる。唯、私の牧場での乳牛の飲水は、ウォーターカップと称する自動給水器で、カップの「ヘラ」を乳牛が口で押すことによって飲水が出来る様になっている。しかし高原牧場帰りの乳牛は牛舎内の飲水の方法が分からないので、私の牧場で飼養している先輩乳牛の隣りに繋いで置くと、先輩牛のウォーターカップの「ヘラ」を口で押して飲む方法を真似て飲水を覚えてくれる。すなわち「先輩牛を真似て覚える。教えられる」
乳牛から先輩、後輩の大切さを教えられ、先輩を真似る事で「生きる」第一歩を乳牛から学んだ。
私は中学卒業後、農業に従事した。その頃、在所の大先輩から「若衆の会」に入れと云われ入会した。そこで小先輩、中先輩、大先輩から「良い事、悪い事」を教えられ、真似をして歩んで来た。それは私の財産であり、心から感謝している。
先日、テレビで「子供は親を真似て育ち、学生は師を真似て成長する。そして社会に出れば先輩を真似て大きく進歩する」と結んでいた。