ファームサルートからのお知らせ

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先日、我家の乳牛の人工授精をした。受精する時に乳牛の尻尾が邪魔になるので、ロープで尾房をからげて牛の背筋に沿って引っ張っておくが、その牛は老齢でいつの間にか尾房が無くなってしまったので「猪の首」を取るという方法で尻尾を固定して受精した。昭和29年、20歳前後の頃に近所の家々の新築建て前のお手伝いとして何度も参加した。そんな時に新築の梁の上から棟梁がロープの端を投げ下ろして、私に「その桁を猪の首を取ってくれ」と言われた。その言葉が分からずにウロウロしていたら、私より2歳ほど年上の先輩が走ってきて、ロープで「猪の首」を取る方法を教えてくれた。桁をロープで1回からげて、次にロープを巻く様にしてロープの間をくぐらせる方法である。この方法だとロープから桁がはずれ落ちることはない。

50年ほど前に美山地区の農家の乳牛の受精に行った時、尾房の無い牛に出会った。畜主が「どうして尾を押さえるかなぁ」と言われたので「猪の首」を取る方法はどうだろうと言ったら、大先輩の畜主は「そうだ!やって見る」と言って猪の首を取る方法で尻尾を固定してくれた。彼は「猪の首」を取る方法を私よりも熟知していた。

今は全くロープで猪の首を取るという方法は知らない人が多いと思うが、何事にも原点が大切と思う。ロープ、綱一本にも色々な使い方、からげ方がある。原点から新しい方法や方便が考えられる。何事にも原点、源流、原則を知ることが大切と思っている。