50数年前、家畜人工授精師として福井市を中心に各農家の乳牛や和牛の人工授精に単車で砂利道を走り回った。先日、農閑期で暖冬のひと時、50数年前に走りまわった農村地区は今はどの様に変貌しているのかなあと思い訪ねてみた。各地区とも土地改良で見事に整備され、農道も舗装されている。その中で上中町の整理された農地の中に約2坪ほどの敷地に小さな祠がある。かつては農道の横にあったと思われる。土地改良でブルドーザでひと押しで無くなってしまうが、そのまま残されている。農地の中にあるから農作業では大変苦労するし邪魔だと思うが、農地は転作の麦が青々と育っている。祠も見事に管理されている。小さな石碑に「おこり神様」と記してあり「おこり」とはマラリアとも記してある。御神体は隕石が安置してあり、餅とみかんが供えてあった。
また杉谷町の整備された農地のど真中に1坪ほどの土地に「へび神社」がある。祠の中に石に掘られた御神体は風雨で定かでなく、その前に2代目と思われる石像がある。そして餅とみかんと赤南天がお供えしてあった。昔から祠の位置を動かさず、農作業に大変邪魔とお羽毛が、農地は秋耕され、祠も見事に管理されている。農民として農家として、地区の歴史を重んじる見事な心意義に本当に心洗われた。