私は集落の愛宕神社の総代を務めている。先月、出雲大社の参拝に旅行した。北陸自動車道から中国自動車道を経て出雲に入った。濃緑の窓外の景色は見事である。奥深い山間の田や、大きな土手なども管理されていて、農業に携わる私として「ホッ」とした思いであった。また私は、福井から50km離れた奥越の大野でも1.2haの水稲を耕作している。時折、作業の帰りに足を運んだ事のない山深い集落を軽トラで散策する事がある。出会う集落の人達は皆軽く頭を下げてくれる。小さい棚田でも見事に管理されていて、自然と調和した素晴らしい景観である。二十数年前に韓国や中国を旅行した事があるが、帰りの機上から日本の国を眺めた時に、緑の豊かさと美しさに感動した覚えがある。それらは、すべて農業者の手によって構成されている。
農業はいま規模拡大が進んでいる。特に稲作は農地の基盤整備も進み、私の友人には100haを耕作している法人組織も誕生している。また50ha、30haの個人経営をする友人、集落を一農場とする集落営農、また兼業であっても1haを懸命に耕作する友人もいる。私自身は6haを耕作している。農業の組織構図は「石垣」の様な型が一番良いと思っている。石垣は、大きな石、変形した石を組み合わせて構築されている。そして大きい石と石の間には、中・小の石を組み入れて石垣は出来ている。石垣は大・中・小の石の組み合わせによって強度が保持され、美しい景観を作り出している。農業も大・中・小の経営規模によって保持されている。農業の構図は石垣の構造を理とすべきと思っている。それに合わせて農業行政・農業技術がかみ合うと「強い農業」「美しい農業」が展開されると思う。